最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

あちらにいる鬼 評価 感想 レビュー ★★★★★

あちら側の純愛と、こちら側の純愛は、こんなにも違う形になるのか!というのが、一番正しい感想な気がしますが、私がそれ以上に印象的だったのは、この時代の「筋の通し方」でした。

高度成長期からの転折を迎えつつある時代の日本。文化的であろうとし、ある意味、非常に奔放でもあった時代。真っ直ぐだった時代。人は自分の中の観念や、節度に従って、それを踏み外さないように生きたいと思っていたんだな、ということを強く感じました。

昔は良かった的な言説は建設的ではないとは思うのですが、この時代には、敗戦から再び這い上がり、文明国としても復活を遂げようという気概のようなものがあり、根底には平和に生きられることへの感謝もあったのかな、と感じました。でも向かう先が不透明で正解のない時代に差し掛かっていた・・・

これからの日本は、どんな文化を世界に発信していけるでしょうか。日本人の社会生活は、どんな豊かさを追求できるだろうか?と考えてしまいます。ただそういう目線で見ても、先人たちの生き様を赤裸々に記録した、このような創作ドキュメントの存在意義は極めて高いと思います。

映像表現も演技と言葉のバランスが秀逸で、欲望の中で、それでも生き様に筋を通そうと、もがいたであろう人たちの、心のひだまで描写した、重厚な作品だと感じました。もう一回見たいです。