2016-01-01から1年間の記事一覧
社会性と個性の関係性を、 この上ない形で、世に示した傑作。 個の精神の健全性を脅かすのは、常に社会であり、 精神の傷を癒やせるのも、また社会だけだ。 統合失調症の患者は、他者との関わりの中で、 何らかの傷を負い、心を閉ざす。 その方法は、自らの…
生まれることは素晴らしく、 生きていることは素晴らしい。 それを「人間の尊厳」と呼ぶ・・・ この映画は、そんな根源的な問いを、 観ている人に真剣に考えさせてしまう。 それも、全く思わぬ角度から。 そして、とても難しい角度から。 「ルーム」はママか…
『ハリー・ポッター』シリーズは娘と全て鑑賞済み。 シリーズ通して、それなりに楽しめていたので、 満を持して、家族で鑑賞。 しかし残念ながら、いまいち乗れず… 最後は3Dに疲れたのか、 不覚にも眠くなってしまいました。 意外にもストーリーについてい…
棋士の世界。 特異な勝負師の世界を、 スクリーン上に忠実に再現した良作。 ノンフィクションならではの静かな感動は、 『ハドソン川の奇跡』を見た後の充足感と似て、 じわーっと余韻が広がります。 村山聖さんが長生きできていたら、とか、 健康だったら、…
大手建設会社のトップが、 ソン・ガンホさん演じるソン・ウソク弁護士に対し 「今の韓国が真の民主主義を求めるのはまだ早い。 もっと中産階級が育つのを待たなければ」 と諭したのに対し、 ソン弁護士は 「私はカネの問題だとは思わない」と拒絶し 独裁体制…
心が震えました。 人の居場所をつくれるのは、人だけ。 他人と、自分でつくるもの。 だから、人の居場所を奪うのも、人だけ… 空襲警報か鳴り止まない中でも 慎ましく生きている人の暮らしを知っていたら、 上空から爆弾を浴びせることができるだろうか。 焼…
ラージクマール・ヒラニ監督&アーミル・カーンの 『PK』に感銘を受けてレンタル。 仕事が忙しく、一度見ずに返却してしまい… 再レンタルして、ようやく鑑賞しました。 テーマとしては『いまを生きる』を 思い起こすような感じでしょうか。 ただインド風?…
そこはかとなく、怖い映画だと思いました。 心のエアポケットを突くような恐怖。 魔がさす、と言うか。 銀行の人によく聞く「ありがちな話」が、 行く所まで行くとこうなる、というのが、 極めてリアルに描かれていました。 映画全体の色調も暗めで、恐怖を…
「むずかしいことをやさしく、 やさしいことをふかく、 ふかいことをおもしろく」 井上ひさしさんのこの言葉が、 全ての表現、作品、とりわけ エンターテイメント作品に通じる背景には、 「本当のことを言わないのが大人」という 世界に共通するルールがある…
だいぶ泣かされました。 何度か嗚咽が込み上げそうになりましたが、 近くのおばさんが、その度にかなり先行して、 嗚咽をあげてくれたおかげで、我に返り、 大人しく見続けることができたと思います。 それでも2回ほど突然きた時は、堪えるために、 ウッと…
「うまい」ことの崇高さを感じた映画。 本当に「うまい魚」を食べられた場合、 それが、どれだけ奇跡的な仕事の 連続だったことか… まず、魚が獲れなければいけない。 獲れた魚の中で、今この瞬間は どこの、何がうまいのか? 知らなければいけない。 良い魚…
今年は見る邦画がみな後悔しないものばかり。 これまであまりに見ていなかったので、 今年が豊作なのか、これまでも充実していたのか? 分からない!ということで、 タイトルだけは聞いていた話題作を今さら鑑賞。 個人的に“邦画祭り”になっています。 本作…
『何者』が思いの外、よかったので、 実はまだ見てなかった、朝井リョウ原作の本作を 早速レンタル。 瑞々しい言葉のやりとりから滲み出る 独特の緊張感は、監督が違えど『何者』と共通。 何気ない会話の間に、実は起こっている それぞれの感情の起伏を捉え…
『クワイ河に虹をかけた男』を見て、幼い頃にテレビで見たこの作品をレンタル。「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」と歌っていた『クワイ河マーチ』の記憶しかなかったのですが、今回『クワイ河に虹をかけた男』を観たことで、凄惨な背景をイメージしながら鑑賞…
予告編を見て、全然ピンときてなかったんですが、 レビュー読んで観たくなり、行って来ました。 映画館では高校生くらいの若い客の姿が目立ちました。 感想としては…… 素晴らしかった‼︎ エンドロール、テーマ曲に煽られて広がる余韻は ほろ苦いけど、甘さも…
繊細な心理描写。映像センスにより、 いつの間にか、観ている人の心のひだを触り 平気ではいられなくする。 泣けない映画かなと思っていたら、とんでもなかった。 まず、子育てで起こることの表現が非常にリアル。 子どもは素直だ。 我が儘に生きているよう…
小学生の娘と上の句に続いて鑑賞。 上の句は想像以上に面白かったのですが、 さすがに下の句まではどうだろう…と 半信半疑だったのですが、 これは上の句を超える面白さで、 最後は、感動してしまいました! きっと、原作の内容が相当濃いのでしょう。 千早…
「戦後処理で負けた日本は、本当に負けた」 永瀬さんの言葉が、胸に突き刺さりました。 この映画は、日本社会の重大な欠点を 暴いた映画だと思いました。 第二次大戦で日本軍に捕らえられた捕虜の多くが、 悲惨な末路を辿った。 それについてイギリス人の元…
見ているのが、しんどかった。怖かった。 暗澹たる気持ちで、 まだ続くのか…と思いながら見ていた。 人の劣情を、容赦なく炙り出すこの映画は、 見ていて、常に息苦しく、目を背けたくなる。 最初はなんとなく今村昌平監督の『うなぎ』を 思い出しながら見て…
『ハドソン川の奇跡』を見て、 見逃していたクリント・イーストウッドの この作品を思い出し、ようやく鑑賞。 イラク戦争を考える上で、 見なくてはならない映画だと思いました。 イラク戦争は、ブッシュ大統領の言動や、 テキサス州の知事を務めた経歴など…
最近、小学校で百人一首を習い始めた 娘のリクエストで鑑賞。 恋愛を巡る曖昧な感情表現の意味を 娘に単純化して解説しながらの鑑賞でしたが、 思いの外、良い作品でした! 広瀬すずさん、真っ直ぐな演技させたら、 他の若い女優さんは歯が立たない存在感で…
実話を元にした映画で、歴史的背景を知れば知るほど 感情移入できる作品だと思う。 映画の舞台は1950年代初頭の エストニア・ソビエト社会主義共和国。 スターリンによる強制連行が横行していた時代。 第二次世界大戦における独ソ不可侵条約でエストニア…
2014年 アメリカ 165分 監督 リチャード・リンクレイター 上映中の映画や、試写会がきっかけで興味を持ち、 レンタル視聴した映画の感想もこれから 掲載していきたいと思っていて、 その第一弾!がこの映画です。 11月上映予定の『エブリバディ・ウォンツ…
期待通りに楽しめる作品。 今、週刊誌がスクープ連発で再び存在感を示す中で、 “文春に負けじ”とばかりに、 スクープで復権を目指す写真週刊誌というのが、 今っぽいし、リアル。 スクープを狙うノウハウも興味深い。 映像は切れ味があり、パリっとしてる。 …
先に観た方のレビューを読んでいて、 かなり期待して観に行ってしまったのですが… 上げたハードルを、余裕で越えてきました。 素晴らしい作品!すごくリアル! アニメだから、心の動きを効果的に可視化できる。 アニメだから リアルな辛さを見せつけられても…
ものすごく面白かったのです。 それは、自分が無知ゆえにビートルズとは何だったのか、全く分かっていなかったから。 法被姿のビートルズが羽田空港に降り立つ写真が、なぜ教科書に出てくるのか、真剣に考えたことがなかったのです。 映画は1962年にデビュー…
夕方から、ふと時間が空いたので、 0時から見た『ハドソン川の奇跡』に続き、 W初日鑑賞達成! 映画史専門家のトークショーもありました。 近くの席に、オモニ風の人が座っていたり、 いつものユーロスペースとは少し違う雰囲気。 作品は北朝鮮をめぐる史…
公開初日0時からの回、観てきました! 正直ビートルズとかなり迷いましたが、 寝不足気味なので、今回は時間が浅い方に。 観てまず思ったのは、 大御所、クリント・イーストウッドだから、 撮れた映画だ、ということ。 奇をてらわず、ただただまっすぐに 見…
「怒り」というタイトルの群像劇ですが、怒っている人ばかりが出てくる映画ではありませんでした!笑(過去にそういう邦画もありましたが)その実、出てくるのは、皆、怒れない人ばかりです。怒ることができれば、どれほど楽だろうか、という人ばかりなので…
この映画を観た感想は、地雷の恐ろしさ、その一言に尽きます。地雷の爆発に、三度、身体が派手に仰け反りました。その度に、一番後ろ席に座っていて良かったと、思いました。 地雷の信管を抜く除去作業は、常に銃口を向けられているような緊張感で、どアップ…