率直な感想を一言で言うと「油断した」
…というか「油断させられた」っていう方が正確な気さえする。
冒頭からのライトであっけらかんとした雰囲気を見るにつれ、
青春18(切符)かー、インバウンド需要意識した映画増えそうだなー、
みたいなヨコシマな感想が徐々に頭を支配していたはずなのに、、
気がついたら泣いてた。
最初は幻想的かつ、儚いシーンのシンクロに、泣いた。
次に声高に始まった伏線の回収に、泣かざるを得ず。
伏線を回収した上での違和感の答え合わせと、生きていく希望の提示にまた泣いた。
後半戦の加速部分になって旅の1ページごとに名優が登場し、ストーリーを前進させていく。
すごい力で畳み掛けてくる。
完全にやられた!これはすごい。
エンドロールでは映画をめちゃくちゃ理解したミスチルの主題歌…
これはあまりに映画を読み解いてたから、感じる前に考えてしまい、涙の第四波とはならなかったが、
馴染みあるyouthful days とかかけられたら無条件に号泣してたな。
テクニカリーな部分だけでなく、どんな人の人生にもあるような青春、ていうより、ひと夏の熱くて切ない思い出を反芻させる傑作だと思いました。
美しい自然の描写が人生の美しさと儚さを一層掻き立ててました。
藤井監督すごいなー。許光漢と清原果耶さんの透明感ある存在感も秀逸でした。
パチパチ👏
フィリップ 評価 感想 レビュー ★★★★★
復讐に生きていても、愛してしまう。
愛を取り戻しても、復讐から逃れられない。
幸せを知ったがゆえに、幸せを選択できない。
冷徹なフィリップの仮面が、一度だけ裂けた。
ある一生 評価 感想 レビュー ★★★★
アルプスのような大自然の時の流れから見れば、
主人公エッガーの人生はほんの一瞬の出来事。
それでもエッガーは様々な選択をした。
望んでしたことも、しなかったこともあった。
試練があり、それを乗り越えた。
神を信じずに、神に近づいた。
人生とは時の流れの中で選択を続けること。
悪は存在しない 評価 感想 レビュー ★★★★
狐につままれた、という言葉を久しぶりに思い出しました。
思えばなるほどです。
必要最低限の会話。
自然を熟知する、ここに美味しい水がある・・
食べられる植物と、触るな危険の植物。
鹿は臆病であり、普通なら人を避ける。
では問題ない!人からすれば・・
では鹿はどこに行く?
水飲み場は無くなってしまうかもしれない。
思い当たる場所はいくらでもある。
童話か、神話か、詩か、そんな読後感があります。
映像はカメラのフレームの中で人が動くのが基本。
カメラは滅多に追わない。
前だけでなく、後ろの車窓。
FIXの後にヨリ、というパターンが幾分多いかと思いましたが、
女の子はもちろん、家畜である牛とかも、、
ストーリーを紡ぐ時に、それがしやすいのだろうと思いました。
オープニングの煽りの木が長いのには、深い意味があったんですね。
しばらくパーフェクトデイズを思い出していました。
悪は存在しない、、タイトルが最大のガイドでした。
しかし、濱口監督はきっとドライブ大好きなんだろうな。
システム・クラッシャー 評価 感想 レビュー ★★★★★★★
トリック映画とかでは全くないのですが、映画が終わったその瞬間から、私の中で全てが鮮やかにひっくり返っていきました。
ああ、そうだったのかと。自分が本当に何も分かっていなかったことに気付かされました。
外側から見た絶望的な状況は、内側で諦めない希望、意志の顕示だったのです。
周りから見れば自分で自分の首を絞めているようにしか見えなくても、本人はただ必死に生きる道筋を探し、足掻いていたのです。騒ぐのも、攻撃するのも、逃げるのも生きる意志。
生の温もりを与える愛がなければ、人は生きていけない。そんな温もりが見つかれば生きていける。飼われるように生きていくつもりはありません。
たとえ誰もそれを与えてくれなかったとしても彼女はまだ絶望しない。その瞳は再び光を捉えるのです。
本当に素晴らしい映画体験をさせていただきました。私にとっては最も見るべき映画の一本となりました。このななつ星(最高評価)の映画が記念すべき100本目のレビューになって本当に嬉しいです。