最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

永い言い訳 評価 感想 レビュー ★★★★

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繊細な心理描写。映像センスにより、

いつの間にか、観ている人の心のひだを触り

平気ではいられなくする。

泣けない映画かなと思っていたら、とんでもなかった。

 

まず、子育てで起こることの表現が非常にリアル。

子どもは素直だ。

我が儘に生きているようで、

心を寄せてくれる人には、心を開く。

手持ちカメラの長回しで子育てのリアルを引き出し、

編集点を増やしてでも、リアルを紡ぐ手法で、

観ているものを、ぐっと感情移入させる。

 

一方で、自宅にいる時の幸夫君の映像は、

一貫して突き放してみせる。

部屋は広くて快適そうだが、一人。

幸夫君が感情的になっていても、

取り乱していても、カメラは遠ざかっていく。

幸夫君がいつ「生きている」のかを、

構成によって明示していく。

テレビ取材の様子、

スタジオでの収録の様子なんかも、リアル。

徐々に孤独に陥っていく、

本木雅弘さんの表現が素晴らしい。

 

人は他者との関わりの中でこそ、生きていける。

考え方が違う他者と関わることは面倒くさいが、

そこには生の実感が伴う。

他者と真剣に関わらなければ、

面倒くさいことも起きないが、

生きていく意味も見出しにくくなる。

人から求められることは、

人生最上の喜びをもたらしてくれる。

 

非常に難しいテーマを、この映画は、

一言も説教することなく見せつける。

こういう繊細な心理描写は、

邦画の真骨頂だと思います!

おすすめです。