最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

【レンタル】ルーム 評価 感想 レビュー ★★★★★

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生まれることは素晴らしく、

生きていることは素晴らしい。

それを「人間の尊厳」と呼ぶ・・・

この映画は、そんな根源的な問いを、

観ている人に真剣に考えさせてしまう。

 

それも、全く思わぬ角度から。

そして、とても難しい角度から。

 

「ルーム」はママからすれば、忌々しい場所。

本来あるべきだった人生をぶち壊した場所。

それでも、息子のジャックを

唯一の希望として、生き抜いてきた。

 

「ルーム」で生まれたジャックは、

5歳になるまで、そこだけで楽しさを探し、

人生のメッセージを探してきた。

母だけと接して、生き続けてきた。

 

それは、不幸としか言いようのないこと。

絶対に受け入れ難いことだが、

それでも「生まれた」こと.

そして「生き抜く」こと自体を

肯定しない限り、次には進めない・・・

「ルーム」が人生の一部であることを

どうしても、受け入れなければいけないのだ。

 

その時、そこで生まれたジャックには、

受け入れる以外の選択肢がない。

一方で、母はその事実を

能動的に、選択的に、

受け入れなければならない。

母と子は、お互いを唯一の

拠り所としているが、

実は、立場が真逆であることが、

この脚本の厳しさであり、凄みだ。

 

人はどんなに不運でも、失敗しても、

絶望せずにまた、生きる希望を

見出すことができるだろうか。

 

そして人は、

希望を持つことで、生き抜こうとする

全ての他人を、無条件に、

肯定することができるだろうか。

 

この映画は、極限の想定から

生きる意味を問いかけてきます。

 

映像的には、ジャック目線に

切り替わる所が非常に印象的で、

映像に緊迫感を与え、

ジャックの心の揺れを描いていました。

 

母と子を演じた役者がまた素晴らしい!

ママを演じたブリー・ラーソンさんは、

『ショート・ターム』を観た時も思いましたが、

非常にリアルで、シリアスだけど

魅せられてしまう…物凄い役者さんです。

 

そしてジャックを演じたジェイコブ君。

その演技を一度見てしまったら釘付け…

目を離すことができません…

 

凄まじい作品でした!

劇場で観たかった…

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 評価 感想 レビュー ★★

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ハリー・ポッター』シリーズは娘と全て鑑賞済み。

シリーズ通して、それなりに楽しめていたので、

満を持して、家族で鑑賞。

 

しかし残念ながら、いまいち乗れず…

最後は3Dに疲れたのか、

不覚にも眠くなってしまいました。

 

意外にもストーリーについていけず、

それぞれのキャラクターが何をしようとしているのか、

分かりにくかった。

置いてかれてしまいました。

 

世界観の作り込みはさすがで、

登場するビーストもそれなりに面白いのですが…。

ハリー・ポッター』の1作目を観た時のような、

ワクワクする感じ、

凄い映画が登場した!っていう高揚感は、

個人的には感じられませんでした。

聖の青春 評価 感想 レビュー ★★★★

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棋士の世界。

特異な勝負師の世界を、

スクリーン上に忠実に再現した良作。

ノンフィクションならではの静かな感動は、

ハドソン川の奇跡』を見た後の充足感と似て、

じわーっと余韻が広がります。

 

村山聖さんが長生きできていたら、とか、

健康だったら、とかいう仮定は、

一切意味を持たないのだと思いました。

 

幼い頃から重病を患ったから、

村山聖さんは将棋に出会った。

将棋があったから村山さんは限られた人生を、

生き抜くことができた。

青春の全てを将棋に注ぎ込むしかなかったから

強かった。

そして、人生丸ごと賭けた挑戦を受けて立てる

羽生さんという壁が、同世代に存在した。

 

それが奇跡的なことであることを、

一番深く分かっていたのが、

盤を挟んで対峙した羽生さんだったのでしょう。

激戦の末、

村山さんが力尽きたように落手した時に、

東出・羽生善治さんが流した涙には、

心を強く揺さぶられました。

二人は盤上で、命を賭けた対話を、

繰り広げていたのでしょう。

そこにはどんな景色が広がっていたのか?

二人にしか、知ることが許されない世界です。

 

村山さんが亡くなった後、対局に臨む

羽生さんの短いシーンが印象に残りました。

村山さんの人生を背負い込み、

さらなる孤高の領域に到達した羽生さん。

百年に一人の天才と言われる

羽生さんにとってこそ、

人生の全てを賭して挑んでくる村山さんは、

なくてはならない存在だったのでしょう。

 

松山ケンイチさんと、東出昌大さんは、

見た目や、話し方、仕草などを手掛かりに、

極限を共有した人たちの、心の動きに、

迫る演技をしていたと思います。

 

精一杯生きることの意味を、

深く問いかけてくる映画でした。 

弁護人 評価 感想 レビュー ★★★★

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 大手建設会社のトップが、

ソン・ガンホさん演じるソン・ウソク弁護士に対し

「今の韓国が真の民主主義を求めるのはまだ早い。

もっと中産階級が育つのを待たなければ」

と諭したのに対し、

ソン弁護士は

「私はカネの問題だとは思わない」と拒絶し

独裁体制と闘う決意を新たにする

シーンが最も印象的でした。

 

今の時代を生きている大人の責務は、

今、起きている問題を解決するために動き、

次世代になるべく先送りしないことだと、

明確に示したからです。

 

実際に、もしカネの問題なら、

いま中国は徐々に民主化に向かっているのか?

かつて民主化運動が弾圧され、

その後に、新たな闘いが続かなければ、

GDPで日本を抜いても、一党独裁は揺るぎません。

格差があるからとか、いろいろ言い訳できても、

結局は勝ち取らない限り、民主化しないのです。

 

今、解決することが難しい問題は山ほどあります。

今、解決に動いたら、何かがクラッシュする。

何らかの危機が起こる。または抹殺される…

恐ろしいことなのですが、

それらの問題のほとんどは先送りしても、

自然治癒してくれません。

 

ただ今の痛みや動揺、恐怖を避け、

言い訳をし、

次世代の痛みや恐怖に対しては、

目をつぶっているのと同じです。

 

結局、いつか、誰かが、その責任感から

クラッシュさせなければならないのです。

そして基本的には、先送りすればするほど、

クラッシュの衝撃は大きくなると思います。

 

その点、減刑ではなく、

あくまで有罪・無罪を争った

ソン・ウソク弁護士の次世代に対する

責任感は素晴らしいと思いました。

後に大統領になったノ・ムヒョン氏を

モデルにした話と鑑賞後に知り、

なるほど!と思いました。

 

朴大統領の問題で韓国が揺れている今観るのが、

イムリーだと思って見ましたが、

皮肉にも、鑑賞後まず思い浮かべたのは、

一向に解決に向けた動きが皆無な

日本の財政問題でした…

 

映画は、シナリオがやや緩くて、

消化不良なシーンも所々ありましたが、

真っ直ぐ過ぎるメッセージ性と

ソン・ガンホさんの熱演が印象に残る

良作だったと思います!

この世界の片隅に 評価 感想 レビュー ★★★★★★

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心が震えました。

 

人の居場所をつくれるのは、人だけ。

他人と、自分でつくるもの。

 

だから、人の居場所を奪うのも、人だけ…

 

空襲警報か鳴り止まない中でも

慎ましく生きている人の暮らしを知っていたら、

上空から爆弾を浴びせることができるだろうか。

 

焼け野原となってしまった町を見ていたら、

ラジオの向こうから、頑張ってください、と

呼びかけることができるだろうか。

 

居場所を奪う側の人たちの顔は、常に見えません。

 

最愛の人を次々に亡くしてしまった人は、

どこに行けば、生き続けることができるのか。

 

それでもこの映画は、

人の想像力の可能性を信じています。

 

悲惨な状況の人に、

なぜ周りの人は皆「よかったね」と言うのか?

 

人にはきっと

この世界の片隅にいる人のことを想像し、

関心を寄せる力があると。

 

そして他者に関心を寄せることこそ、

人の創造性なのだと、

静かに主張しています。

 

もう一回、観に行きたいです。

今度は小学生の娘を連れて。

【レンタル】きっと、うまくいく 評価 感想 レビュー ★★★★

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ラージクマール・ヒラニ監督&アーミル・カーン

『PK』に感銘を受けてレンタル。

仕事が忙しく、一度見ずに返却してしまい…

再レンタルして、ようやく鑑賞しました。

 

テーマとしては『いまを生きる』を

思い起こすような感じでしょうか。

ただインド風?のカラッとした

演出&映像なので、

「死せる詩人の会」が象徴するような、

陰鬱な息苦しさは皆無です。

で、いきなり自殺したりするので、

びっくりしてしまう所もあるのですが、

それだけ強いプレッシャーがあるんだな、

と納得すれば、ストーリーに入っていけます。

 

今作のテーマは、未来でもなく、過去でもなく、

親でもなく、面子でもなく、

自分自身として今を生きる「勇気」の大切さ。 

そして、友情の美しさ。

このテーマ自体は、古今東西の映画で描かれる

ど真ん中のテーマであって、目新しさはない。

にも関わらず、この映画が高く評価されたのは、

制作陣が、映画の力を信じて

作っていることに尽きると思う。

大衆娯楽の頂点として、

多くの人を楽しませて、

生きる勇気を与える作品を作るという信念。

邪念がなく、

それしか考えずに作っていることが伝わるから、

作品自体のテーマである「勇気」の大切さが、

観ている方が恥ずかしくなるぐらい、

真っ直ぐに伝わってくる。

その真っ直ぐさが人の心を動かすのだと思います。

 

音楽も最高!

明日の活力として、映画を楽しみたい人に

オススメの作品です! 

因みに『PK』をこれから観る予定の方で、

今作まだの方がいらっしゃれば、

先にこちらを見た方が良いかも!

【レンタル】紙の月 評価 感想 レビュー ★★★★

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そこはかとなく、怖い映画だと思いました。

心のエアポケットを突くような恐怖。

魔がさす、と言うか。

銀行の人によく聞く「ありがちな話」が、

行く所まで行くとこうなる、というのが、

極めてリアルに描かれていました。

映画全体の色調も暗めで、恐怖を掻き立てます。

THE.日本映画!という感じ。

 

常に見る順番が逆ですが、

『湯を沸かすほどの熱い愛』で

宮沢りえさんの演技が気になり鑑賞しました。

真逆の役柄…綺麗で、おとなしめで、透明感あって

基本的には「悪いことしなそう」なタイプだけど、

穿った見方をすると、あり得なくはない…

凄くハマリ役だと思いました。

池松壮亮さんも、ほぼ同様な理由でハマってました。

 

印象に残ったシーンは、自転車の並走カットと、

ラストの走るカット。

自由で、躍動感があるようにも見えるけど、

ケージの中で、ハムスターが回し車の上を、

走っているのを見て勝手に、

「嬉々として走っている」と思うのと、

似ているような気もしました。

ただ、最後の「走った」方は、

明らかにケージの外へ逃げ出していましたが。

 

宮沢りえさんと、小林聡美さんの、

「どっちが惨めか」論争が、心に響きました。

冒頭の腕時計のくだりを思い浮かべながら、

「結婚=従属」という構図に苦しむ

女性の思いを想像するよいきっかけとなりました。

 

早く配偶者控除を見直した方がよいと思いましたが、

なかなかそうは、ならなそうですね。