そこはかとなく、怖い映画だと思いました。
心のエアポケットを突くような恐怖。
魔がさす、と言うか。
銀行の人によく聞く「ありがちな話」が、
行く所まで行くとこうなる、というのが、
極めてリアルに描かれていました。
映画全体の色調も暗めで、恐怖を掻き立てます。
THE.日本映画!という感じ。
常に見る順番が逆ですが、
『湯を沸かすほどの熱い愛』で
宮沢りえさんの演技が気になり鑑賞しました。
真逆の役柄…綺麗で、おとなしめで、透明感あって
基本的には「悪いことしなそう」なタイプだけど、
穿った見方をすると、あり得なくはない…
凄くハマリ役だと思いました。
池松壮亮さんも、ほぼ同様な理由でハマってました。
印象に残ったシーンは、自転車の並走カットと、
ラストの走るカット。
自由で、躍動感があるようにも見えるけど、
ケージの中で、ハムスターが回し車の上を、
走っているのを見て勝手に、
「嬉々として走っている」と思うのと、
似ているような気もしました。
ただ、最後の「走った」方は、
明らかにケージの外へ逃げ出していましたが。
「どっちが惨めか」論争が、心に響きました。
冒頭の腕時計のくだりを思い浮かべながら、
「結婚=従属」という構図に苦しむ
女性の思いを想像するよいきっかけとなりました。
早く配偶者控除を見直した方がよいと思いましたが、
なかなかそうは、ならなそうですね。