最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

聲の形 評価 レビュー 感想 ★★★★★

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先に観た方のレビューを読んでいて、

かなり期待して観に行ってしまったのですが…

上げたハードルを、余裕で越えてきました。

素晴らしい作品!すごくリアル!

アニメだから、心の動きを効果的に可視化できる。

アニメだから

リアルな辛さを見せつけられても受け入れやすい。

 

耳が聞こえない人の話かと思ったら、

耳を閉ざしてしまう人の話だった。

普遍的なテーマで、大人ならどんな人でも、

多かれ少なかれ身につまされる話だと思う。

個人的には、どこまでも自分の話だった…。

変わろうとしても、なかなか変われない所もリアル。

人はそれぞれ、考え方や、やり方が違っていて、

それは基本的には変わらない。

要はどう見るか、だけなのだ。

個性だと受け止め、その聲に耳を傾けるか、

傾けないか、だけなのだ。

耳を閉ざすと、世間は恐ろしいものに変わる。

人の心は、他人から与えられる声を栄養にして育つ。

独りでは「不安」に勝てないのだ。

 

タイトルの「聲」という漢字。

「耳」という字の上に、

「声」という字と「殳」という字が並ぶ。

「殳」の意味は「刃の無い棒状のホコ」。

「棒をもって人を殴り殺す」という意味もある。

つまり、聲の形を考えると

メッセージとしての「声」と、

人を傷つける「殳」があり、

耳で聞き分けるべきもの、という形に見える。

コミュニケーションにおいては、

良い「耳」を持ち、白や黒を聞き分けることが

最も大事な基盤であるという意味に思える。

 

円滑なコミュニケーションは、

聞き手の判断に依存する部分が大きく、

だからこそ、耳が聞こえにくい少女の存在は、

周囲の子供たちを苛立たせたのではないか。

聲に含まれる真っ白でも真っ黒でもない

ファジーな部分を、人は往々にして、

聞き手の“適切な”理解に委ねているのだ。

空気読めよ!というやつだ。

耳が聞こえにくい少女は、

耳という基盤の重要性を誰よりも思い知らされて、

自責と諦めの気持ちから、心を閉ざしてしまった。

 

「聞く耳がある」とか「聞く耳がない」とか

日常よく登場する言葉だが、

「聞く耳がある」状態を保つこと、

そして相手の心に声を届けるのは如何に大変なことか。

片方だけが努力しても、決して成り立たないのだ。

声で人を傷つけないためにも、

自分が人を信じ続けるためにも、

心を開き続け、心を鍛え続けることが如何に重要か、

この映画は語っている。

優しくて、太い、すごくよく通る形の聲で。