機内で鑑賞。
愛と打算、打算と愛の物語か。
資産家で芸術活動のパトロンである
マダム・フローレンス。
夫のシンクレアも、伴奏者となったコズメも、
それぞれ、打算があってフローレンスに近づいた。
音痴だが歌を愛するフローレンスが、
その夢を叶えられるように二人は全力を尽くす。
打算の上の関係だが、フローレンスのことを
慮る気持ちに嘘はない。
この映画は、極端な例だけど、
人間関係って、多かれ少なかれ、
こういう二面性があるものだと思った。
愛も、打算も真実だが、
どちらか一つで語り切ることはできない。
片方だけを盲信すれば裏切りに見えるかもしれない。
音痴なフローレンスの歌に観客は喝采し、
そのレコードは飛ぶように売れた。
嘲笑している面もあるが、それだけでは、
売れた事実を説明できない。
世の中はかくも複雑であり、
ポジティブに捉えるか、ネガテイブに捉えるか、
その違いだけだと思った。
そのどちらも正しく、どちらも完全ではないだけだ。