最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

トップガン マーヴェリック 評価・感想・レビュー ★★★★★★

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2時間11分の極上の映画体験。素晴らしい作品というより、素晴らしい「映画体験」と言いたくなる映画なのですが、では「映画体験」とは、どういう意味なのか?

文化庁のHPによると「非日常空間の中である映画館等の暗やみの中で自己の存在を消し、集中して、大スクリーンによる高画質の映像と、包み込むような高音質の音響を味わい、さらに周囲の観客との一体感を得ることができるもの」らしいのですが、私が今回言いたい映画体験とは、明らかにそれを超えるものです。

私が言いたい映画体験は、ハリウッド映画だけが持つような「映画体験」です。例えば「スター・ウォーズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ジュラシック・ワールド」などで感じられる体験で、映画の世界の中に没入し、その中で旅をするような経験です。そして、それらの中でも、このトップガン・マーヴェリックはとりわけ「体験」が素晴らしいと感じたのです。
何故なんだ?と思って思わずパンフレットを購入しましたが、ちゃんと答えが書いてありました。

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トム・クルーズさんはCGではダメだ、と。それでは「体験」じゃない、と。だから本当に訓練して飛んでいたんですね。映画でみんなが飛んでいる時、観客席の私も飛んでいました。確かに巨大なGフォースを感じていました。それは、役者たちが本物のGフォースを感じ、しかも機内でそれを自ら撮影するという、ハリウッド映画以外では、ほぼ絶対にあり得ない手法で撮影しているからこそ、我々にその一つのアドベンチャーを完全に体験させてしまうんですね。
カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した「万引き家族」を見るときの私たちは、その家族を突き放した目線で眺めていると思います。感情移入することもあるかもしれませんが、どちらかと言うと、この家族はどこに向かうんだろう、と他人の目線で覗いている。だから花火を見る縁側のシーンで上空からのカットの時、急に目があったような錯覚に陥ります。

でもハリウッド映画は違う。見ている人を極上の旅に連れて行く。一緒に連れて行くからハッピーエンドしかあり得ない。客を一緒に旅させて死なせるわけには行かないのです。最後は無事に帰って来れるからこそ、スリリングな旅を楽しめるのです。

旅に連れて行くための用意は周到。ミッションも3段階ぐらいに分けて説明してくれる。最初は難しいことがわかり、次に時間が大事なことがわかり、最後に実現可能な奇跡が必要なことがわかるのです。観客にはミッションを徐々に頭に入れながら、徐々にGフォースやコックピットの狭さに慣れていく過程が用意され、その合間にはサンディエゴのビーチで束の間の休憩も与えられる。ロマンスもある。

エンドロールにはものすごい数の関係スタッフの名前が出る。桁違いです。やはりハリウッド映画は、他の国の映画産業とは種類が違う。巨大エンターテインメント産業であり、その構造は、どちらかと言うと、ディズニーランドや、ユニバーサルスタジオに近い。体験型のアトラクションであり、一生の思い出に残るものであり、世界に通用するドリームなのです。

トム・クルーズは只者ではない。彼は銀幕上での自分の魅力を知り尽くし、それをきちんと脚本にも入れ込むが、そんなことには全く満足せず、映画をあらゆる角度から学び、自ら巨大産業をリードするプロデューサーを務めている。この映画を作るための、フライト訓練、キャプテン、トム・クルーズパイロットたちの関係がそのまま映画にトレースされ、それが本物の極上映画体験を生み出していました。