映像の世界に携わる者であれば
感服せざるを得ない作品。
一度、その世界に入ってしまえば
もう途中で逃げ出すことは出来ない。
ストーリーの登場人物と共に、
窮地から逃げ切るしかないのだ。
セリフによる状況説明はほぼ無い。
セリフ自体、ほとんど無い。
主観目線で進む逃亡劇と、
空からの援護射撃、
海からの救援。
三つのストーリーが並行的に進むことで
観客は置かれている状況を理解する。
ワイドかつ奥行きがある映像で
あっという間に戦場に引き込まれる。
CGに頼らず、見え過ぎない映像。
かつ、動いてる近くの映像と、
どロングで追わない映像を重ねる構築が、
非常にリアルで、豪華とも言える世界観を醸し出す。
窒息しそうな切迫した映像に息苦しくなる。
戦場のノイズと相まった音効が、
少しも心を休ませてくれない。
臨場体験は観客に多くのことを理解させる、
戦場の残酷さ。
慈悲の価値。
自然の雄大さ。
そして、日常の美しさ。
客に帰還兵体験をさせてしまう、
それだけで価値がある、
凄まじい映画でした…