『理由は聞くけど、気持ちは聞かない』
40代で小学生の娘を持つ身として、
そして、タバコがやめられない喫煙者としても
徹頭徹尾、身につまされる映画でした。
そして、本当に素晴らしい映画でした。
『淵に立つ』が受け入れられなかった私にとって、
それ以来の浅野忠信さんでしたが、
私にとっては、これぞ“怪演”!
日常生活に潜む複雑さと危うさを、
リアルに表現していた。
日常を保とうとする、田中麗奈さんも好演!
宮藤官九郎さんも怪演!
一瞬にして、全てを理解させる寺島しのぶさんも、
素晴らしかった。
三人の「娘」たちも複雑な心情を表現していて、
かつ、リアルだった。
心情を暗喩する、様々な道の車窓。
天気の変化。
淡々としたリズム重視の音楽。
心情が決定的に変化する時の役者の表情と、
ノイズを完全にサイレントにする音効も、
非常に効果的だった。
原作、脚本、アドリブ会話、
きっちり撮る絵と、流れに任せる絵。
全てが高い次元で調和して、
二度と撮れないレベルまで高められていた。
そして、家族でいることの意味を描いていた。
日本の家族の今を切り取った、
三島有紀子監督の手腕に脱帽です。