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最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

ニーゼと光のアトリエ 評価 感想 レビュー ★★★★★

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社会性と個性の関係性を、

この上ない形で、世に示した傑作。

個の精神の健全性を脅かすのは、常に社会であり、

精神の傷を癒やせるのも、また社会だけだ。

 

統合失調症の患者は、他者との関わりの中で、

何らかの傷を負い、心を閉ざす。

その方法は、自らの発信能力を消滅させ、

コミュニケーション網から隔絶されること。

彼らは傷つきやすい心をこれ以上、

侵されたら耐えられないと無意識に判断し、

致命傷を避けるために、

他者との接点である言語性を

放棄している可能性が高いのだ。

 

つまり、

心が壊れてしまったかのように見える彼らは、

実は、壊れてしまいそうな心を、

他者から閉ざすことで

守っている可能性が高いのだ。

脳に対する外科的処置などは、

そんな彼らに対するトドメの一撃であり、

治療とは正反対の攻撃だ。

 

患者に必要な「治療」とは

心がこれ以上、侵されることはない、

心は守られる、という絶対的な安心を

与えられることであり、

コミュニケーションしよう!という

他者からの継続的な問いかけを受けること。

 

そして思考力、言語性を回復させながら、

自らの心が壊滅的な危機にはないと

自ら納得するための心の整理が必要だし、

自分の気持ちが他者にも見えることに

再び慣れるための訓練も必要だ。

 

それが、絵を描くことだったのだ。

 

映画の中の、最後の「叫び」が印象的だ。

社会は強者や多数派の論理を

「ルール」として押し付けがちだ。

それによって個が抑圧されることは、

精神病の範疇の話ではなく、大なり小なり、

毎日のように繰り返されている。

 

ニーゼは

「人生には一万通りの道がある」と言った。

それを受け入れられる秩序を

どのようにつくるか?という大命題は

いまの社会にも変わらずに存在し続けている。