最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド) 評価 レビュー 感想 ★★★★

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「うまい」ことの崇高さを感じた映画。

本当に「うまい魚」を食べられた場合、

それが、どれだけ奇跡的な仕事の

連続だったことか…

 

まず、魚が獲れなければいけない。

獲れた魚の中で、今この瞬間は

どこの、何がうまいのか?

知らなければいけない。

良い魚を競り落とさなければならない。

競り落とした魚の中から、

さらに目利きで、よりうまい魚を

選ばなければならない。

職人技により、うまく絞めなければならない。

よい魚が、よい料理人に渡らなければならない。

うまく捌いて、調理しなければならない。

その瞬間に、

客として居合わせなければならない…

たから、本当にうまい魚は、

お高いのだと思いました笑。

 

また築地が「ワンダーランド」で

あることについては、

合理化・効率化全盛の今、

築地市場という囲われた空間だけに、

昔ながらの商売、コミュニティが

残っていたことだと思いました。

 

自然の恵みである魚の状況は日々変化し、

情報が命。

競りという、厳しい勝負の世界でもあり、

毎日魚を触る人にしか分からない

高度な魚の見極めがある。

かつ、食を扱うので、先代や

先先代からの「仲間」「信頼」が

モノをいう空間。

合理化や効率化が馴染まないものの

オンパレードな「特別」な場所だから、

奇跡的に、昔ながらの商売、

コミュニティが残存していて、

今の時代には、もはや

「ワンダーランド」と呼ぶに相応しい

場所になってしまったのだと。 

その奇跡の空間は、

日本が世界に誇るべき「食文化」を今に伝える

象徴だと思いました。

 

惜しむらくは海外ドキュメンタリーのように、

全編インタビュー構成になっていて、

何気ないけど面白そうなやりとりが、

たくさん撮れているのに、音が半オフ扱い。

劇場の音響の問題もあるかもしれませんが、

しっかりとは入ってきませんでした。

問屋、仲卸、料理人でそれぞれ主役決めて

一年かけて密着し、

インタビュー要らないくらいシーンで語る

日本のドキュメンタリーとしてつくってもらい、

世界に向けて築地を発信してもらえたら、

もっと嬉しかったし、

きっと奇跡の感動作が生まれていたのではと。

 

でも、なかなか撮影させない築地市場ですから、

主役決めない、インタビュー構成が

精一杯だったような気もします。

築地市場も移転を前にやはり、

歴史的空間を記録に残すべきだと考え、

全体的な取材としてOKしたのではないでしょうか。

 

それでもこの映画は、

日本人なら誰でも学ぶべき、食の記録。

DVD化されれば教科書的な価値があると思います。

映画としては、もしかしたら

海外の方が評価高いかもしれませんが。

日本人なら誰でも学ぶべき食の記録です。

 

なお東京都の市場長のインタビューが

かなり、たくさん出てきますが、

公開される時に、まさかこのような

事態になっているとは、

思いもよらなかったでしょう・・