最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

【レンタル】戦場にかける橋 評価 感想 レビュー ★★★★

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クワイ河に虹をかけた男』を見て、
幼い頃にテレビで見たこの作品をレンタル。
「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」と歌っていた
クワイ河マーチ』の記憶しかなかったのですが、
今回『クワイ河に虹をかけた男』を観たことで、
凄惨な背景をイメージしながら鑑賞できました。

日本人の大佐は収容所で、イギリス人捕虜に対し、
死を恐れない「誇りと恥」を説き、
生き恥を晒した”と捕虜を見下すのに対し、
イギリス人大佐は捕虜となっても
「法と主義」の下で生きることを宣言し、
“非文明的な”日本のやり方に決して屈しません。

それは日本人の考え方の根拠が、
“お上”に従うことを第一とするのに対し、
イギリス人は“人間の尊厳”を判断基準にする、
という対比に見えます。

そこに、軍人ではない医師の現実主義や、
アメリカ人捕虜の個人主義的な視点が重ねられ、
重厚かつ、エンターテインメントとして、
楽しめる作品に仕上がっています。

「人間の尊厳」を説くイギリス人大佐も、
絶望的な状況の中、
日本を利する橋の建設であっても、
それに没頭することでしか、自らの信念を
維持できなかったことも示されます。
物語の結末には、強い反戦のメッセージを
読み取ることができます。


米英合作で制作され、
1957年に英米日で公開されたこの映画は、
アングロサクソンの真の強さが、
戦争で勝つこと以上に、戦争の極限状況の中でも、
人間の尊厳を守ろうとすることにあると
雄弁に主張しています。

それは『クワイ河に虹をかけた男』の永瀬さんが
「戦後処理で負けた日本は、本当に負けた」と
語ったのと、表裏の関係にあるテーマです。

米英が終戦からわずか10年余りで、
このテーマを、一流の娯楽作品として公開し、
同時に日本でも上映したことを考えると、
プロパガンダ的な意味合いも感じますが、
やはり彼我の「国力」の差は歴然としていて、
先の大戦が如何に無謀だったか思い知らされます。

戦後70年が経過した今、
日本は普遍的な人間主義を掲げる国として、
どこまで成熟できたのだろうか…
もっとも、今のアメリカやイギリスでは、
この映画を作った頃のような懐の深さが
失われつつあるのかもしれませんが。