最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

淵に立つ 評価 レビュー 感想 ★★

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見ているのが、しんどかった。怖かった。

暗澹たる気持ちで、

まだ続くのか…と思いながら見ていた。

人の劣情を、容赦なく炙り出すこの映画は、

見ていて、常に息苦しく、目を背けたくなる。

最初はなんとなく今村昌平監督の『うなぎ』を

思い出しながら見ていたが、全くの別物だった。

『うなぎ』も、人の暗部を照らし出したが、

その中で人は「性」や「生」に執着していた。

登場人物は、不器用ながらも、生きようとしていた。

翻って、この作品が提示したのは絶望だと思う。

家族という最小単位の人間関係を否定し、

人の暗部以外の感情を映し出すことを、

徹頭徹尾、拒絶した。

重要なことについて何も説明しようとしなかった。

役者は素晴らしく、その難しい要求に応えたし、

それを実現するためには、緻密な構成だった。

ただ、説明されなければ、人は不安になり、

隔絶が絶望に行き着くのは、

当たり前のことだと思うのだ。

最後に唯一、表現された感情や、

「繋がり」による顛末には怒りすら覚えた。

人のある側面を、剥き出しにし、

観客を絶望のどん底に陥れたという意味では、

この映画はかつてないほど成功し、

ある種の「芸術性」を有したのかもしれないが、

私のキャパシティの範囲内では、

積極的に知覚したいような気づきは得られなかった。

むしろ、それは知ってるよ、と思ってしまった。

ここまで怒ってしまうという意味では、

それだけ感情が揺さぶられているわけで、

ある意味「凄い映画」なのだと思うし、

制作陣は独創的なセンスで、

それをやり切ったわけです。

でも、映画の芸術性って、もっと大きくて、

もっと包容力があるものだと信じたいのです。