尊厳死をテーマにした、この映画。見終わって、最初に思い浮かんだ言葉は、「謳歌」という言葉でした。
なぜだろう・・・と、ネットで「謳歌」の意味を、調べてみると・・・
おう‐か【×謳歌】[名](スル)
1 声を合わせて歌うこと。また、その歌。
2 声をそろえて褒めたたえること。
3 恵まれた幸せを、みんなで大いに楽しみ喜び合うこと。
とありました。気が付かされたのは、一人では、「謳歌」できない、ということ。
一人では、人生を「謳歌」できないのですね・・・私も病院に入院した経験はありますが、身体が動かない、ということは、非常にやるせないものです。どうしても、人に迷惑をかけますし。
みんなで喜びあい、尊厳を感じられているまま、その生涯を終えたい。親がそう言うことは、子供たちから見れば、我が侭な願いにも見えます。
それもそのはず、我がままに生き、我がままに死にたい、と言っているわけですから。
それを周囲が受け入れて、「声を合わせて歌って」と言われれば、困惑しますよね。
でも老いていき、自分のことが自分でできなくなり、入院して、生き続けていく時にも、やはり、「声を合わせて歌うこと」は、難しくなって、しまっていくのだろうなと。
声が聞こえなくなってしまう可能性もあります。
92歳の母親は、一生懸命、一つ一つの思い出を整理していきます。それは、母親が人生を謳歌した証です。母親はそれを、引き継ぐことを、強く望んでいました。
自分の精神が、家族に引き継がれることを、望んでいたのでしょう。娘は最終的にそれを受け入れ、息子はそれを受け入れられなかった。
母親が1人の人間として、「謳歌」した人生・・・それを、そのまま受け入れることが、最も難しいのが、時に「家族」であり、特に「子供」なのかもしれません。
それでも一緒に生きていかなければ、決して、「謳歌」できないんだな、、と思いました。