最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

美女と野獣 吹替版 評価 感想 レビュー ★★★★

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小学生の娘のリクエストで吹替版を鑑賞。

誰もが知る物語であることを逆手に取り、

この映画ではストーリー上の、

細かな整合性を合わせることよりも、

夢の世界の再現や、

そこで楽しむことに振り切っている。

細かな描写よりも、大胆で、ダイナミックで、

華麗な動きづくりに心血を注いでいる。

その世界観を実現するための中核が、

エマ・ワトソンさん、という感じ。

大人になっても、誠実そうで、

芯が強そうな目力は少しも衰えず、

独特の華があり、かのハリポタシリーズも、

やはり彼女あってこその人気だったのだと、

改めて、存在の強さを思い知らされました。

 

吹替版で良かったのは字幕を追わないため、

映像の放つ世界観に没入できること。

一方、エンドロールで原曲が流れると、

その力強さに初めて気付くといった感じで

一長一短あるかなと思いました。

そんなに難しい話ではないのと、

やはり歌が多いので、ある程度、

耳で英語のセリフや歌詞を楽しめる方は、

当然ではありますが、字幕版をオススメします。

 

最後に時節柄、世界中の人、

特に子どもが見るディズニー映画は、

これからも、今作のように、

多様性の美しさ、多様性への寛容さを

訴え続けてほしいと心から思いました。

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タレンタイム 優しい歌 評価 感想 レビュー ★★★★

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8年越しの日本公開!

舞台挨拶ありとのことで、

初日初回を観てきました!

瑞々しくて、どこか懐かしい、

どこまでも優しい映画でした。

最初はストーリー進行が独特で、

違和感もあったのですが、

見進めていく内に、ストーリーと意識が

ビタッと合致。

すると、その世界観に引き込まれ、

すっかり浸り始めた時に幕が下りた感じでした。

 

↓ 舞台挨拶で話す歌手のアディバ先生

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 懐かしさの所以はどこにあるのか。

舞台挨拶の時にチャンスがあったので、

ヤスミン監督が影響を受けた監督は誰か、

聞いてみました。

アディバさんは「知らない」とのこと

でしたが、司会の方が、

ヤスミン監督が好きな映画は、『街の灯』。

好きな監督は・・・

山田洋次さん、小津安二郎さん、

ウォン・カーウァイさん、

アッバス・キアロスタミさん

ときたので、すごく納得。

正にそれらの監督が持つ特徴が

ところどころで感じられました。

 

なんとなくジグザグ道が出てくるけど、

デートの描き方はすごくおしゃれ。

各家庭の描き方が、すごく優しかったり、

親に威厳があってシリアスだったり。

また、あるあるという細かい笑いを

随所に織り交ぜていたりと、

アジアの巨匠たちの感性が、ゆるーく、

適度にミックスされている感じ。

他民族国家のマレーシアならではです。

それが瑞々しくて、懐かしい、

あの感じの正体かと、凄く納得しました。

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↑ 舞台挨拶後も映画館外で客と話すアディバ先生

 

アディバ先生は、劇中、

マツコ・デラックスのような存在感。

拍手を促すしぐさがツボでした!

 

しかし、映画×音楽の力は素晴らしい。

ギターソロと二胡のセッションはもちろんですが、

歌えなくなる彼女と、喋りすぎた?彼の

シーンは映画好きなら思わず唸る

傑出したシーンかと思いました。

映画と音楽に乾杯であります。

わたしは、ダニエル・ブレイク 評価 感想 レビュー ★★★★★

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巨匠が真正面から描いた今そこにある危機

一昔?ふた昔?前なら

テレビ番組のドキュメンタリーとか

ニュース番組の特集でみるべきテーマだが、

今ではすっかり目にしなくなったテーマだ。

ニュースとしても売れるテーマでは

なくなってしまったのだ。

それをテレビの商業主義のせい…とするのは

短絡的過ぎるだろう。

見る人が少ないから、徐々にやらなくなるのだ。

 

この映画で、ダニエル・ブレイクと

その周囲の人々は皆、

素晴らしい互助の精神を発揮している。

実はそれこそが今の現実社会には

無いものなのではないか。

個人一人ひとりの考え方の集合が、

やはり政策に反映されているのではないか。

 

ダニエル・ブレイクが失意の末に描いた落書き。

あれこそ政治活動だ。

おかしい!と思う人が声を挙げ、連合できれば、

政治も、その声を無視できなくなるはず。

でも、誰も闘っていない。

無関心だ。

その現実を見兼ねて、

巨匠ケン・ローチは引退宣言を撤回し、

この作品を描いたのでは。

 

映画は全く商業的ではない。

事実、試写会のように広告なしの上映だ。

既に名声を獲得した巨匠が、

巨匠にしかできないやり方で

真正面から訴えた危機。

そこには、一流の芸術のみが持ち得る

深さと、切れ味があった。

サバイバルファミリー 評価 感想 レビュー ★★★★

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 週末に娘のリクエストで鑑賞…

一言で言えば身につまされます。

職場でデスクワークで

幅を利かせていたりすると、

確実にこうなっていきますよね…

残念ながらほぼ全編、

父親への厳しい視線で貫かれております笑。

 

会話もリアル。

サバイバル状況でなくても…あるな、

と思ってしまいました。

(娘は楽しそうに見ていました)

 

幸せって何か、みたいなことを、

考えてしまいました。

基本的には生きるために、必要なことを、

共に生きていく人のためにできること…

なんだなと思い知らされます。

 

スマホが爆発的に普及し、

今度はVRも!となると、

暮らしのリアリティって

ますます失われがちなんだろうな。

でも、やっぱり多少の不便さがあっても、

感触とか、匂いとか、生の感触がある所の方が、

「幸せ」に近いんですよね…きっと。

娘と見てよかったです。

ムーンライト 評価 感想 レビュー ★★★★★

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超・私的な目線から、人の多様性を貫く。

人は見た目から想像できる所もあるし、

想像できない所もある。

人は何かを表現しようとしているし、

何かを隠そうともしている。

時にその二つは絡み合ったり、

交錯したりしている。

 

そんな人の姿が、そのまんま

個人の目線で描かれているから、

置いていかれる部分もあった・・・

あ、そうだったのか!と。

でもそれで良いのだと思う。

でも、もう一回見たい。

 

監督バリー・ジェンキンス

研ぎ澄まされた視点に、

唸らずにはいられない作品。

 

しかし人って、つくづく弱い、

硝子細工のような存在なんだなと

改めて思う。

みなが安住の場所を探しているのに、

なかなかうまくいかないよね、って。

自分が何となくしか意識していなかった

心のひだに触られた感じ。

やさしく美しく汲み取ってくれてありがとう!

と言いたい。

 

しかし、この作品が

アカデミー賞作品賞を受賞する所に、

まだまだアメリカ社会のパワーを感じる。

または、それだけ危機感が募っているのか…

今の時代に、より価値を感じる作品でした。

ハクソー・リッジ 評価 感想 レビュー ★★★★★★

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日本人が真に「体験」すべき戦争映画!

何の前知識もなく鑑賞しましたが…

それは驚愕の映画体験でした。

塹壕火炎放射器

これまで語られてきて、

知った気になっていた戦争を

裏側から見たら、こうなっていた。

 

戦闘シーンは、既に鑑賞などと呼べる代物ではない。

悲惨な戦争を体感させられ、

それだけで涙が溢れた。

シートが震える爆音…

アカデミー賞の録音賞、音響編集賞は頷ける。

 

戦争のもう一つの側面が見られるだけでも

充分に価値があるが、

その裏側で起こっていた、ある「格闘」に、

彼我の圧倒的な力の差を感じる。

一億総玉砕とか言っていた国と戦っていた国では、

軍隊の中での個人の信念は守られるべきか、

という闘いがあり、

その人物は戦場に赴き、

戦場で、個人の信念を貫き通したのだ。

 

ものすごくリアルに極限状態を感じながら、

そこで発揮された凄まじい人間性の発露に遭遇し、

感動と興奮が冷めやらない。

アンドリュー・ガーフィールドの熱演も、

本当に素晴らしい。

爆音で震えていたシートが、

今度は自らが堪えている嗚咽で震える。

この体験を超える映画体験に遭遇することは、

しばらくないと思う。

 

なお本日の試写会にはおすぎさんの姿が!

その後、ハシゴした「ムーンライト」の試写会でも

お見かけし、

思わず両作品の感想を聞いてみたくなりました…笑。

【レンタル】セッション 評価 感想 レビュー ★★★★★★

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 娘が4~5歳のころ、節分の季節になると必ず、

父は鬼にあったことがあるか?と聞かれた。

いつも『2~3回あったことがあり、父が勝った』

と答えていた。

娘に伝えたかったのは、人生には必ず、

「鬼」としか思えないものと遭遇する時があり、

その「鬼」を克服できたかどうか、が

その後の人生を大きく左右するということだ。

 

その点、この映画は非常にリアルだ。

何者かを志すものが、

必ず直面する典型的な鬼が出てくる。

『孤独』という鬼。

絶対的な『権力者』という鬼。

『障害』や『怪我』、『病』という鬼。

そして芸術家を志す者にとって

克服すべき最強の鬼、

それが『感性』だ。

自らを信じることを諦めない者が

血の滲むような格闘の末に、

確信できる、センスだ。

 

今のはやりの言葉で言えば、

この映画は「パワハラ」の映画だ。

もう終始パワハラ

ただ、パワハラを受ける生徒が、

音楽家として金をとるプロを目指すなら、

この鬼に勝たなければならない。

普通ではない、鬼気迫る演奏だから、

客は金を払うのだ。

まして、そこに

傑出した音楽家を見出そうとするならば、

見出す側もそれなりの狂気を

纏わなければいけない。

本当の鬼にしか、新たな鬼を見出せないのだ。

 

芸術家は鬼を倒すことで頭角を現す。

倒される方にも覚悟がいるのだ。

パワハラ禁止となってしまえば、

現代社会では「自由のびのび」みたいな

骨がない芸術ばかりが蔓延るだろう。

鬼が鬼を生む、時代を超えて進化する

真の芸術は廃れてしまうのだ。

 

しかし、J・K・シモンズと、

マイルズ・テラーはともに、

本物の音楽家にしか見えない。

鬼と鬼の闘いも本当にリアルだ。

彼らの鬼気迫る演技を導き出した

デミアン・チャゼルは、間違いなく

パワハラという言葉が嫌いなはずだ。

 

鬼気迫る映画が今も生まれていることに、

そして音楽という芸術の包容力に、乾杯!