最新映画見てきました!

最新映画を中心に感想を書いていきます。評価は★の数で!自分が満足しそうな映画を中心に見て、その中での相対的な評価ですので、基本的に★★★以上はおススメです!

サバイバルファミリー 評価 感想 レビュー ★★★★

f:id:gyaro311:20170313073428j:image

 週末に娘のリクエストで鑑賞…

一言で言えば身につまされます。

職場でデスクワークで

幅を利かせていたりすると、

確実にこうなっていきますよね…

残念ながらほぼ全編、

父親への厳しい視線で貫かれております笑。

 

会話もリアル。

サバイバル状況でなくても…あるな、

と思ってしまいました。

(娘は楽しそうに見ていました)

 

幸せって何か、みたいなことを、

考えてしまいました。

基本的には生きるために、必要なことを、

共に生きていく人のためにできること…

なんだなと思い知らされます。

 

スマホが爆発的に普及し、

今度はVRも!となると、

暮らしのリアリティって

ますます失われがちなんだろうな。

でも、やっぱり多少の不便さがあっても、

感触とか、匂いとか、生の感触がある所の方が、

「幸せ」に近いんですよね…きっと。

娘と見てよかったです。

ムーンライト 評価 感想 レビュー ★★★★★

f:id:gyaro311:20170316201921j:image

超・私的な目線から、人の多様性を貫く。

人は見た目から想像できる所もあるし、

想像できない所もある。

人は何かを表現しようとしているし、

何かを隠そうともしている。

時にその二つは絡み合ったり、

交錯したりしている。

 

そんな人の姿が、そのまんま

個人の目線で描かれているから、

置いていかれる部分もあった・・・

あ、そうだったのか!と。

でもそれで良いのだと思う。

でも、もう一回見たい。

 

監督バリー・ジェンキンス

研ぎ澄まされた視点に、

唸らずにはいられない作品。

 

しかし人って、つくづく弱い、

硝子細工のような存在なんだなと

改めて思う。

みなが安住の場所を探しているのに、

なかなかうまくいかないよね、って。

自分が何となくしか意識していなかった

心のひだに触られた感じ。

やさしく美しく汲み取ってくれてありがとう!

と言いたい。

 

しかし、この作品が

アカデミー賞作品賞を受賞する所に、

まだまだアメリカ社会のパワーを感じる。

または、それだけ危機感が募っているのか…

今の時代に、より価値を感じる作品でした。

ハクソー・リッジ 評価 感想 レビュー ★★★★★★

f:id:gyaro311:20170316151412j:image 

日本人が真に「体験」すべき戦争映画!

何の前知識もなく鑑賞しましたが…

それは驚愕の映画体験でした。

塹壕火炎放射器

これまで語られてきて、

知った気になっていた戦争を

裏側から見たら、こうなっていた。

 

戦闘シーンは、既に鑑賞などと呼べる代物ではない。

悲惨な戦争を体感させられ、

それだけで涙が溢れた。

シートが震える爆音…

アカデミー賞の録音賞、音響編集賞は頷ける。

 

戦争のもう一つの側面が見られるだけでも

充分に価値があるが、

その裏側で起こっていた、ある「格闘」に、

彼我の圧倒的な力の差を感じる。

一億総玉砕とか言っていた国と戦っていた国では、

軍隊の中での個人の信念は守られるべきか、

という闘いがあり、

その人物は戦場に赴き、

戦場で、個人の信念を貫き通したのだ。

 

ものすごくリアルに極限状態を感じながら、

そこで発揮された凄まじい人間性の発露に遭遇し、

感動と興奮が冷めやらない。

アンドリュー・ガーフィールドの熱演も、

本当に素晴らしい。

爆音で震えていたシートが、

今度は自らが堪えている嗚咽で震える。

この体験を超える映画体験に遭遇することは、

しばらくないと思う。

 

なお本日の試写会にはおすぎさんの姿が!

その後、ハシゴした「ムーンライト」の試写会でも

お見かけし、

思わず両作品の感想を聞いてみたくなりました…笑。

【レンタル】セッション 評価 感想 レビュー ★★★★★★

f:id:gyaro311:20170305005701j:image

 娘が4~5歳のころ、節分の季節になると必ず、

父は鬼にあったことがあるか?と聞かれた。

いつも『2~3回あったことがあり、父が勝った』

と答えていた。

娘に伝えたかったのは、人生には必ず、

「鬼」としか思えないものと遭遇する時があり、

その「鬼」を克服できたかどうか、が

その後の人生を大きく左右するということだ。

 

その点、この映画は非常にリアルだ。

何者かを志すものが、

必ず直面する典型的な鬼が出てくる。

『孤独』という鬼。

絶対的な『権力者』という鬼。

『障害』や『怪我』、『病』という鬼。

そして芸術家を志す者にとって

克服すべき最強の鬼、

それが『感性』だ。

自らを信じることを諦めない者が

血の滲むような格闘の末に、

確信できる、センスだ。

 

今のはやりの言葉で言えば、

この映画は「パワハラ」の映画だ。

もう終始パワハラ

ただ、パワハラを受ける生徒が、

音楽家として金をとるプロを目指すなら、

この鬼に勝たなければならない。

普通ではない、鬼気迫る演奏だから、

客は金を払うのだ。

まして、そこに

傑出した音楽家を見出そうとするならば、

見出す側もそれなりの狂気を

纏わなければいけない。

本当の鬼にしか、新たな鬼を見出せないのだ。

 

芸術家は鬼を倒すことで頭角を現す。

倒される方にも覚悟がいるのだ。

パワハラ禁止となってしまえば、

現代社会では「自由のびのび」みたいな

骨がない芸術ばかりが蔓延るだろう。

鬼が鬼を生む、時代を超えて進化する

真の芸術は廃れてしまうのだ。

 

しかし、J・K・シモンズと、

マイルズ・テラーはともに、

本物の音楽家にしか見えない。

鬼と鬼の闘いも本当にリアルだ。

彼らの鬼気迫る演技を導き出した

デミアン・チャゼルは、間違いなく

パワハラという言葉が嫌いなはずだ。

 

鬼気迫る映画が今も生まれていることに、

そして音楽という芸術の包容力に、乾杯!

 

【レンタル】帰ってきたヒトラー 評価 感想 レビュー ★★★★★

f:id:gyaro311:20170227003951j:image

全然洒落になってない。

コメディーかと思ってみたら・・・

悲鳴が聞こえてきた。

ドイツ社会の抱える毒が噴出する衝撃作。

しかも「ヒトラー」そっくりさんに対する

多くの市民の、おそらく生の反応が

ふんだんに盛り込まれていて、

テレビ局の局長争いという

‟コミカル”な寸劇がなければ、

マイケル・ムーアのような突撃系の

ドキュメンタリー映画としか思えない。

ドイツは、そしてヨーロッパは、

既にここまで追い込まれていたことを

ちゃんと分かっていなかった。

 

この映画で、ヒトラーは、

誰よりも勉強家で、

人の心の掴み方を知っている。

舌鋒鋭く、ドイツが抱える問題を指摘し、

誰もがすぐに分かる言葉で

‟ビジョン”を示す。

現代に彼が蘇ったなら、

ドナルド・トランプ大統領のやり方など

さぞかし稚拙に見えるのではないだろうか?

 

1930年代のドイツでは、

正に映画のようなことが起こり、

ヒトラーは独裁する権利を

国民から付与されたのではないだろうか?

 

戦後、ヒトラーの台頭を許した反省から、

ドイツ、そしてヨーロッパは

二度と危機を繰り返さぬと、

連帯を重んじ、人の流れを自由化し、

多くの移民、難民を受け容れてきた。

日本がほとんどやってこなかったことだ。

その結果、ドイツ・ヨーロッパの民は

いま限界に達してしまっている。

 

英国のユーロ離脱も、

ヨーロッパの極右勢力拡大も、

70年の歩みの「結果」として

起こっていることを、

我々は冷静に認識すべきだと思う。

 

アメリカもだ。

トランプ大統領が繰り出す

様々な攻撃の原因が、

トランプ氏個人の性格にあり

トランプ氏が代われば、

また元の世の中に戻ると考えるのは、

楽観すぎる。

これまでの歴史の結果として

トランプ大統領が登場したことを

認めるべきなのだ。

トランプ氏の言う通り、

そして映画でヒトラーが言う通り、

彼らは選挙で選ばれたのだ。

 

だとしたら、この先、何が起こるのだろう。

危機を避けるために何ができるのだろう。

この映画は、そのためにつくられた

きわめて‟活動的”な映画だと思う。

公共の電波を利用するテレビが、

常に中立的かつ、マイルドであることを

求められる中で、

時代を見通すために映画や本の意義が、

どんどん重くなっていることを

改めて感じさせられた。

 

映画の中で、ジャックラッセルテリア

殺される、というシーンがある。

非常に衝撃的なシーンだ。

これは、この70年の変化を

最も象徴するシーンだとも思った。

この70年、先進国で、犬の命ほど

重くなったものはないのでは。

今では映画の作り物のシーンでも、

このような残酷シーンを目にすることは

ほとんどなくなった。

冷静沈着で現代を鋭く読み切ったはずの

ヒトラーが、唯一犯した失敗が

この犬の殺害、というのが

非常に鋭い視点だと思った。

犬の命をこれほど重んじる

ことができる平和は尊い

その平和を守るためには、

世界に平和を広げるための

弛まぬ努力と闘いが必要なのだと思う。

 

【レンタル】ニュースの真相 評価 感想 レビュー ★★★★★

f:id:gyaro311:20170226110147j:image

問題の「文書」を作成したのは誰か?

動機を持ち得るのは何組かいて、

その能力を持ち得る人も限られている。

しかし真相は闇の中だ。

「文書」を作成し得るものの中に、

真相に迫った取材班自身も含まれる。

しかし、敢えて言えば、そのことは、

この映画の価値を棄損しないと思う。

 

問題は権力の疑惑を追及し、

センセーショナルな報道をしようとする

報道の「アニマルスピリット」の敗北にある。

巨大メディアが権力に屈し、

早々に白旗を掲げ、自らの生命線として

抱えてきた「アニマル」を

ハンターの生贄として

差し出してしまったことだ。

 

ウラ取りが甘い、というのは簡単だ。

しかし対象が権力者であり、

また軍隊という垂直型の圧力機関である場合、

100%の裏どりは至難の業だ。

100%でなければ提起することさえ許さないのなら、

それは言葉狩りであり、

言論の自由の封殺ではないだろうか?

 

テレビ局は、

公共の電波を使うことを許される代わりに、

公的な報道機関であることを

義務付けられている。これは日本も同じ。

しかし実際には、NHK以外は

電波使用を認可された1民間企業に過ぎず、

収入は広告料などに依存している。

 

企業が生きていくためには視聴率が重要で、

報道はあまり金を生まない。

『60ミニッツ』はそれを両立していた

貴重な報道番組であったが、

挑む巨大な取材対象を考えると、

予算も、人員も、期間も、全然足りない。

これはどこでも同じだ。それでも、

本に書かれていることが確かであれば、

よくやっていたと思う。

でもそれが限界なのだ。

 

ウラどりが100%でなければ、

放送すべきでない、というのは簡単だ。

でも、そうしたら、ほとんどの

調査報道は、投資を回収できなくなる。

つまり権力を追及するような

調査報道自体をやらなくなる。

その時に、権力へのチェック機能を

国民は放棄するのか?

それを独立した報道機関がやるという、

第二次大戦後の自由のためのインフラは

どうなってしまうのか。

 

「文書」については、裏どりが揺らいだ。

ただ、主旨であった大統領への優遇や、

職務放棄の疑惑は、限りなく

黒に近いグレーだったのでは。

しかし問題は文書が「word」かどうかなど

一つ一つの「事実」へと

矮小化された方向に過熱。

権力者の疑惑という主旨は

次第に置き去りにされてしまう。

それは今の商業メディア全体の

大きな問題点でもある。

 

この映画の 原題は『Truth』

大統領の疑惑の真相を追った物語であり、

報道機関の敗北の真実を語る映画である。

現代における『真実』の在り様を描いていて、

『ニュースの真相』という邦題自体が、

問題を矮小化し、観客・視聴者が

イメージしやすい所に

落とし込んでしまっている。

大統領の疑惑と、報道機関の敗北の

真実を描いた映画なのに、この邦題では

「あるニュース番組の不祥事の真相」

にしか見えない。

このような矮小化と、

興味本位の取り上げ方が問題だと、

この映画が語っているのだが、

それでも商売を考えると、

そうなってしまうものなのだ。

 

アメリカでは今「フェイクニュース」という

言葉が飛び交い始めている。

言論の自由が揺らいでいる。

こんな時こそ本当に必要なのは

ネット上を飛び交う真偽に責任を持たない

❝ニュース❞ではなく

権力と対峙する報道機関の調査報道だと思う。

その時に、国民と報道機関が分断されてしまうことが、

最も危険なのだ。 

ラ・ラ・ランド 評価 感想 レビュー ★★★★★

f:id:gyaro311:20170224124544j:image

とにかく元気が出る!

初日の一発目で鑑賞。

お客さん入ってました。

期待通りの見応えで、

希望と勇気が蘇る感じ。

美しい映像とダンス、音楽のパワー

会話の楽しさを存分に堪能できます。

理屈が入り込む余地なし。

映画館を出て歩き出す時、

きっと多くの人の心の中で、

あの音楽が鳴り止まず、

また、自分の足音の響きを、

久方ぶりに確かめることになるはず。

 

R・ゴズリングと、エマ・ストーン

W主演が本当に素晴らしく演じ切っています。

映画のパワーに押されるように

涙が出てきたのは久しぶりでした。

何かを吹っ切りたい人、

自分の原点を思い出したい人、

再出発したい人、

みんなにオススメです。